庭に生えている大きな木がさめざめと泣く。
どうしたのかと尋ねると苦しいのだという。
お前が埋めたおびただしい数の鳥たちが、空に帰ろうともがくので苦しいのだと噎び泣く。
このままでは枯れてしまうというので、そうかそれは悪いことをしたなと思った。
詫びのかわりに酒を振る舞うと、木肌を真っ赤に染めて酔っぱらうので白い花がこらえきれずにはららと散る。
ーーああ、お前は女だったのか。
ーーそうだ。お前の母親じゃないか。
そんな会話をぽつりぽつりと交わしながら酒を酌み交わす。
もう春も終わりだなとつぶやくと、もうすぐ冬が来るらしいと太い幹が震える。
芽吹いたばかりの新緑が、か細い悲鳴をあげながら墜落していく。
惜しいな、とくちづけると、ぴちち、というさえずりがかえってきた。
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